公的年金等控除額の改正とiDeCoの税制!


 

2018年度税制改正で、給与所得控除をはじめ公的年金等控除、基礎控除等が見直され、2020年1月1日から適用されることになりました。

 

iDeCoを年金形式で受け取る場合、雑所得(公的年金等)に分類され公的年金等控除の対象となるため、税制改正とその影響について紹介していきます。

 

 

所得税改正の背景

 

今回の改正では、働き方の多様性を踏まえ、政府の働き方改革を後押しするという観点から改正の議題がでました。

 

給与所得控除および公的年金等控除といった種類別控除から基礎控除への振替と、所得再分配機能強化の観点からの高所得者を対象とした控除縮減を行うことになりました。

 

具体的には、給与所得控除と公的年金等控除の控除額が一律10万円引き下げられます。

 

給与所得控除額については上限額も引き下げられました。

 

公的年金等控除についても控除額に上限額が設けられ、さらに、公的年金等以外の所得が多い者についての控除額も引き下げられました。

 

一方、基礎控除については、控除額を10万円引き上げますが、高所得者については控除額を逓減・消失されることとしました。

 

給与収入がなく60歳からiDeCoを受給する場合

 

iDeCoを年金形式で受給した場合、雑所得(公的年金等)に分類され公的年金等控除の対象となります。

 

現行の公的年金控除等は、納税者の年齢と公的年金等の収入金額のみで控除額が決まり、上限はありません。

 

今回の改正では、公的年金等控除額の一律10万円の引き下げに加え、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合は、控除額に195.5万円の上限が設けられました。

 

また、公的年金等以外の所得が1,000万円を超える場合は控除額をさらに10万円引き下げ、同様に2,000万円を超える者については控除額を20万円引き下げることとしました。

 

給与所得がなく、公的年金等の収入金額、および公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が共に1,000以下の場合、公的年金等控除額は10万円引き下げられます。

 

しかし、基礎控除額が現行の38万円から48万円に引き上げられるため、課税所得は原則同じとなり、税制負担は変わりません。

 

 

給与収入があり60歳からiDeCoを受給する場合

 

現行は給与等の収入金額が1,000万円超の場合、給与所得等控除額の上限額は220万円です。

 

改正後は、給与等の収入金額が1,000万円超から850万円超に引き下げられ、上限額も220万円から195万円となりました。

 

ただし、その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障害者に該当するもの

 

 

年齢23歳未満の扶養親族を有するもの

 

特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合(子育て・介護世帯)には、

 

給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額が、給与所得の金額から控除されます。

 

これを所得金額調整控除といい、新たに導入されます。

 

また、給与収入が850万円以下で、公的年金等の収入金額が1,000万円以下の場合、給与所得控除額および公的年金等控除額がそれぞれ10万円引き下げられました。

 

そのため、引き下げ額の合計が20万円となり、基礎控除額が10万円引き上げられても、課税所得が10万円増加してしまうことになります。

 

そこで、その年の給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額が10万円を超える者の総所得金額を計算する場合、

 

給与所得控除後の給与等の金額(10万円を限度)および公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を限度)の合計額から10万円を控除した残額を、給与所得の金額から控除することとし、

 

基礎控除の10万円の引き上げと合わせて、課税所得は変わらず増税とならないようにしました。

 

簡単に解説すると改正の影響を受けないように(増税しない)調整したということになります。

 

つまり、改正前と変わらずほとんどの人は影響ありません。

 

 

基礎控除の見直し

 

基礎控除は、納税者本人や納税者に配偶者、扶養親族の最低限の生活を維持するために、必要な収入を守る観点から設けられた所得控除です。

 

所得の多寡にかかわらず、全ての納税者に対して一律の金額とされ、基礎控除額が現在の38万円になったのは1995年からです。

 

基礎控除は所得控除のうちの1つでありますが、所得控除方式は、課税対象額を減らした後に所得額に応じて5〜45%の累進税率を掛けて税額を計算します。

そのため、税率が高い高所得者ほど減税効果が大きくなり、所得再分効果が低くなってしまいます。

 

そこで、今回の改正で基礎控除に逓減・消失型の所得控除方式が採用されました。

 

具体的には、控除額は一律10万円引き上げられたものの、合計所得金額が2,400万円を超える個人については控除額が逓減していき、合計所得金額が2,500万円を超える個人については、基礎控除の適用がされなくなります。

 

 

改正による影響

 

今回の改正が適用されることにより、給与所得者は給与収入が850万円以下であれば、増減税はありません。

 

850万円超になると、子育て・介護世帯を除けば増税となります。

 

年金受給者は、公的年金等以外の所得が1,000万円超の場合に増税となります。

 

参考までに、自営業者については給与所得控除額および公的年金等控除額の引き下げの影響を受けないため、基礎控除額が引き上げられた分、減税となります。

 

全てに共通するのは、合計所得金額が2,400万円超の場合は、基礎控除額が引き下げられるため増税となることです。

 

iDeCoを年金形式で受給することを考えた場合、所得金額調整控除もあるため、一部の高所得者を除けば今回の改正の影響はほぼ受けないといえます。

 


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