行動ファイナンスを理解すれば投資で儲かる!? 株式投資編


 

「自分の買値」にこだわらず、「なぜ」を考えよう!

 

株式投資において、買値、すなわち自分が買った値段を気にするあまり、不合理な意思決定をしているケースがよく見られます。

 

典型的なのは下がってもなかなか損切りできないケースです。

 

そもそも、株を買うのはこれから値上がりすると思うからですが、意に反して値下がりすることもあります。

 

そんなとき、大切なのは下がった原因を考えることです。

 

1つはその企業の収益見通しや財務内容が悪くなったから下がった場合、これはその企業自体が原因です。

 

そしてもう1つは企業自体に何ら変化はないものの、相場全体の地合いの悪化や突発的な事件の影響でリスクオフの市場心理になり、どの株も同じように売られてしまう場合です。

 

前者の場合は、買ったときに比べて明らかに状況が変わってきたわけですから、売ったほうがよいと判断するのが合理的です。

 

逆の後者の場合は、いずれ回復するので焦って売る必要はないと考えるべきです。

 

ところが実際には多くの投資家は逆の行動をしていることが多いのです。

 

前者のときはなかなか売れず、後者の場合は焦って売り急ぐといった判断をしがちです。

 

確かに後者の場合、パニックに陥って売りたくなるという心理はわかります。

 

とりあえずは危険回避の心理が働いて売っておこうという行動を取りたくなるからです。

 

では前者の場合はなぜ売ることができないのでしょうか。

 

 

 

売ることができない心理とは

 

この理由は2つあります。

 

1つはプロスペクト理論による「損失回避」の心理です。

 

下がった時点で売ることは損失を確定することになりますから、なるべくそれを回避したい気持ちになり、売却を躊躇することになるのです。

 

そしてさらに厄介なのは2つ目の理由で参照点依存性です。

 

自分の買値を“基準値”にしてしまうことです。

 

これは売るべきかどうかの判断を自分が買った値段よりも高いかどうかで決定してしまうことです。

 

“今の株価は自分の買った値段よりも安いから売れない”という気持ちはよくわかりますが、これは決して合理的な判断とは言えません。

 

前述のように、なぜ下がったのかという理由を考えるべきで、もし仮に業績が悪化したことが理由である場合は、さらに下落が続く可能性もあるので、いったん売却したほうがいい可能性が高いでしょう。

 

ところが現実にはなかなか売ることができません。

 

これは売買の基準値を自分の「買値」にしてしまっているからです。

 

自分の買値を売買判断の基準にするのは感情的にはわからないでもないですが全く合理的ではありません。

 

そして、これは売るときだけでなく買うときにも起こります。

 

過去に見て覚えていた株価よりもかなり下がっていると、よく調べずに買ってしまうという投資行動です。

 

買うときも単純に安いから買うのではなく、実体価値に比べて割安だから買うべきなのですが、ここでも自分が覚えている価格を基準値にしてしまい、それに影響を受ける投資家の心理があります。

 

株式投資で成功している人に話を聞くと、「株は買った途端に自分の買値のことはわすれなさい」と言います。

 

株価というものがフェアバリューで判断すべきであります。

 

しかし、「自分の買値」を基準に考えてしまうという失敗の経験をした人だからこそ、そうならないようにするために戒める言葉なのだろうと思います。

 

 

損失回避性とは

 

人の損失に対する感応度は、同じ額の利得に対する感応度より強く感じられるというのが「損失回避性」です。

 

私たちは利得を目前にしたときは、安全確実な「リスク回避的」な行動をとります。

 

一方、損失を目前にすると「リスク追求的」な選択をしがちになります。

 

そしてその感応度は、利得と損失にかかわらず、その額が大きくなるにつれ逓減していきます。

 

これが「感応度逓減性」です。

 

利得と損失の境目が「参照点」になります。

 

プロスペクト理論にはもう1つ重要論点があります。プロスペクト理論の確立加重関数です。

 

例えば、宝くじの1等が当たるなど、その確率が極端に低い場合は、人は実際の確率より高く見積もります。

 

これを「可能性の効果」と言います。

 

一方、「95%の確立で手術は成功する」と言ったほぼ確実な結果に対しては、もしかしたら失敗すのでは、と考えてしまい実際の確率より低く受け止めてしまいます。

 

これを「確実性の効果」と呼んでいます。

 

これら2つの効果は、損失面でも同様の傾向を表します。

 

 

自分の買値はわすれる。

 

株式投資のように価格変動のあるものは、自分の買値を基準値にしてしまうことで余計に心理的な振れが増幅され、結果としておおきな損失を招きかねません。

 

自分の買値は買った後は忘れ、判断の基準は企業の実体に比べて株価が割高か割安かという点にのみ絞るべきでしょう。


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