NISA、初の満期!


2014年に始まったNISAは株式や投資信託を対象に、本来2割課税される運用益が5年間非課税になる仕組みです。

 

今年の年末には、最初の非課税期間が満期を迎えます。

 

14年にNISA口座で購入して現在も保有している資産は今後どうすればいいのか。判断の基準や手続きのご紹介をします。

 

■全額移管が可能

 

売却せず運用を続ける場合の選択肢は2つになります。今年末までに何も手続きしなければ、資産は自動的に課税口座へと払い出されます。

 

そして19年以降、配当・分配金や売却益は2割課税となります。もう一つは資産を19年分の非課税投資枠の中に移し替える方法です。

 

ロールオーバー」という手続きをすれば、移した資産について改めて5年間、運用益が非課税の扱いとなります。

 

14年に買った資産なら時価がいくらに膨らんでいようが全額移管可能です。ただしロールオーバーを選んだほうが必ず有利かというとそうとは限りません。

 

■課税口座なら損益通算

 

14年に価格100万円で買った株式がその後値上がりし、18年末に時価200万円になったという前提で考えます。どちらの口座を選択しても200万円が新たな取得価格(損益計算の基準)になります。

 

まず株式が19年以降も値上がりして300万円で売ると仮定します。課税口座で売る場合、利益である100万円の2割、20万円が税金となります。

 

一方、NISA口座に移しておけば税金はかからず結果的にロールオーバーの選択が有利です。反対に19年以降に値下がりして80万円で売ると仮定します。

 

重要なのは、課税口座で出た損失(この例では120万円)は、別の課税口座で生じた利益との間で「損益通算」が可能なことです。

 

損益を相殺することで税金を減らせる効果があります。通算後も損が残れば、翌年以降3年間繰り越せます。一方、NISA口座では利益が非課税となる代わりに、損失は損益通算などに使うことが認められません。

 

売却損が出た場合は課税口座よりかえって不利になる可能性もあります。

 

■19年以降の価格見極め

 

前提を変えて考えてみましょう。14年に100万円で買った後、18年末に50万円に値下がりしたとします。仮に19年以降に価格が75万円に戻って売るとすると課税口座の場合、5万円の税金を取られます。

 

ロールオーバーなら非課税なのでこちらが有利です。

 

19年以降にさらに下落、25万円になった時点で売ればどうでしょうか。課税口座なら売却損25万円分は損益通算などに使うことが可能で、ロールオーバーしていればそれはできません。

 

つまり資産を移管するかどうかの判断で重要なのは、その価格が19年以降にどうなるかです。上がると思えばロールオーバーが基本的に正解になります。

 

また、下がると思えば、早めに手放すか課税口座への払い出しが得策となります。考える点がもう一つあります。新規投資への影響です。

 

■非課税枠拡大を有効活用

 

NISA口座の非課税投資枠は年間120万円です。ただ、ロールオーバーをしていた場合はその分、新規に購入できる金額が減ります。

 

例えば50万円の資産を19年分の枠に移管していれば、19年に買えるのは70万円分ということです。新規投資の枠が減ることになってもなおロールオーバーの選択はお得なのでしょうか。

 

NISA口座にある資産の時価が200万円だとして試算しました。

 

Aは資産を19年枠にロールオーバーし、それとは別に、課税口座を使って120万円分を投資するケース。

Bは資産は課税口座に払い出し、別途、同額の120万円分をNISA口座で新規購入するケース。

 

仮に既存の資産も新規に買う資産も同じだけ値上がりして売るなら、手取り利益の合計はロールオーバーしたAの方が多くなります。

 

本来120万円だった非課税枠が、実質的に200万円に拡大した結果と言えます。

 

■投資先変更も手

 

時価が120万円を下回っている資産をロールオーバーする場合は、19年分の非課税枠が余るので、そこに新規資金を優先的に充てることも考えましょう。

 

もっとも、これまでの話は既存の資産と新規の資産が同じ値動きをすると仮定した例になります。より大きな上昇が見込める株式や投信が他にあるなら、それを新年のNISA枠に優先して投入する方が効果的になります。

 

今年末に初めて非課税期間が満期を迎えることは他に有望な資産がないか、ポートフォリオの見直しを考える機会にもなります。

 

ロールオーバーの受け付けは一部の金融機関で始まっています。手続きには「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を提出する必要があり、期限は金融機関により異なります。

 

例えば野村証券は11月末、SBI証券は12月7日です。保有する複数銘柄のうち一部だけを移管することも金融機関によっては可能ですが、その場合も依頼書の提出が必要です。


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