「長期」投資を検証する!


長期投資は、分散投資や積立投資とあいまって取り上げられることが少くありません。

 

今回は、長期投資特有の効果について検証するために、資産分散や時間分散による積立とは切り離して長期投資を取り上げます。

 

「時間を味方につける」のはどれくらいの効果を生むのか

 

長期投資の効果としてよく引き合いに出されるものに、時間を味方につけるという表現があります。

 

これは、‘時間の長さ’のみを語っているように見えますが、往々にして購入時期の分散も含まれます。

 

しかし、この購入時期の分散と併せて考えたのでは、「運用期間が長いこと」が本当に運用結果に影響するのかどうかの答えとはなりにくいです。

 

そこで購入時期は当初の一度きりとして、その購入した資産が長期の運用によってどのような結果になるのかという側面から長期投資について検証していきます。

 

この検証の対象として、「配当込みTOPIX(東証株価指数)」の年間収益率を取り上げることにしました。

 

また、検証期間は1989年の年末から2017年末の28年間とします。

 

この期間を取り上げた理由は、

①1989年はTOPIXが12月18日にバブル期最高値の2,884ポイントを記録したこと。

②日経平均が大納会の12月29日に38,957円を記録した年。

だからです。

 

一方で、2017年末におけるTOPIXの終値は1,817ポイントとその63%の水準にすぎません。

 

このようなバブル期最高値といった過去の極端な高値からその先は価格の下落が続きます。

 

しかし、配当金の再投資という長期投資の1つの魅力を加えることで、その後の下落を補いうるかを見てみましょう。

 

まず、この28年間の各年の年間収益率と、1989年末の終値を100%としたときの当初投資額に対する各年末の資産額の割合を算出します。

 

この計算から、例えば1989年末に32歳の人が老後資金の資産形成目的で100万円投資していた場合、28年を経て60歳の定年を迎えるも、未だに91.4万円という元本割れが続くことになります。

 

つまり、購入時期を投資スタート時の1回に限るならば、いくら長期で運用しようとも、運用のスタートをどこで切るかで投資成果の明暗が分かれることになります。

 

長期になるほど複利が収益に与える影響は大きくなるのか

 

長期投資の魅力としてこれもよく言われるのが、「利益が利益を生む複利の効果」ではありませんか?

 

投資期間が長くなるほど、利回りが高くなるほど加速度的に資産が増えていくというグラフとともに示さることが多くあります。

 

これもはたして、「長期投資の効果」と言えるでしょうか?

 

まずは、配当の再投資によるその複利の効果を見るために、配当込みTOPIXと通常のTOPIX(配当再投資なし、信託報酬0%)を比較しました。

 

前者は151%と投資額の1.5倍を超えているのに対し、後者は105%にとどまることから、長期投資で再投資することによる複利の効果は大きいと考えられます。

 

では次に、配当込みTOPIXを基に信託報酬というマイナスの複利の影響を見ていきます。

 

信託報酬の影響では、信託報酬が2.0%の場合で87%、3.0%では66%にまで収益が減少しています。

 

これは信託報酬0.0%であれば本来151%にまで増えているはずが、半分以上を信託報酬として引かれたために大きく元本割れしてしまったと言えます。

 

信託報酬が1.0%であれば115%とプラスであるため、一見良いように見えますが、2017年より前は一度も100%を超えていません。

 

このように、長期投資では配当再投資というプラスの複利の効果と、信託報酬というマイナスの複利の影響がどちらも大きくなります。

 

つまり、長期投資においては商品を選択する最初が肝心と言えます。

 

そのため分配金の扱いの確認と信託報酬の水準比較、さらには運用期間非課税になる確定拠出年金やつみたてNISA等の制度を利用するための口座を開設するなど、手間をかけるだけの意味はありそうです。

 


長期投資は分散との組み合わせで効果発揮

 

ここまで「長期」投資について複数の側面から検証してきまたが、長期投資単独ではメリットをさほど感じられない結果となりました。

 

むしろ、資産分散や時間分散と組み合わせてこそ、長期投資はその効果を発揮するのではないかと改めて感じられたのではないでしょうか。

 

だからこそ「長期」×「分散」×「積立」の組み合わせによる相乗効果に期待したいです。

 

Q・長期投資って、買ったらほったらかしでいいの?

 

A・個人投資家は、機関投資家と違って決算がないので、損をしても持ち続けられるのが強みと言えます。

 

これには長期で運用すれば、いったん運用がマイナスになっても回復を待てるといった理由が付け加えられます。

 

しかし、長期投資といえども、個人投資家の場合はその運用資金は老後資金など将来的にいつか必要となる資金であることが多いです。

 

そうであれば、将来のいずれかの時点で、必要となる時期に向けて利益確定等のリスクコントロールを伴う出口戦略を行う必要があります。

 

それでは、その出口戦略はどれくらいの運用期間経過後から考えればよいのでしょうか。

 

それは運用内容や環境により、ケースバイケースであり、個々のライフプランにも左右されます。

 

そので、いったいどれくらいの期間があれば運用のマイナスが回復しうるのでしょうか。

 

あくまで参考としてではありますが、過去に株価が大きく下落した2つのケースにおいて、株価が下落前の水準に戻るまでの期間を紹介します。

 

①2007年のサブプライムローン問題に端を発した下落

下落し始める直前の米NYダウの高値は2007年10月の14,198.10ドルでした。

 

その後、その高値を超えたのは5年5ヶ月後の2013年3月でした。

 

日経平均株価においては同様の高値である2007年7月の18,295円を超えてきたのは7年7ヶ月後の2015年2月のことでした。

 

 

②2000年のITバブルの崩壊による下落

ITバブルにおける米NASDAQの高値は2000年3月の5,132ポイントでしたが、ITバブル崩壊後、その高値を超えてきたのは15年3ヶ月も後の2015年6月でした。

 

同様に日経平均株価が2000年4月の高値20,833円を超えてきたのは、15年4ヶ月後の2015年8月でした。

 

このように、買ってほったらかしでは運用する環境やタイミングによってはかなりの期間、運用し続けなければ利益を上げるどころかマイナスの回復を待つことになります。

 

また期待収益率も投資するタイミングによってはほぼ役に立たないと言えます。

 

 

投資経験者に選ばれているロボアドバイザー「WealthNavi」

 

 




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