投信の手数料が下落へ進んでいる模様


日米の投資信託市場で、手数料の引き下げ競争が激しくなっています。

 

米国では8月、手数料の一種で、残高に応じて投資家が支払う信託報酬が全くかからない投信が初めて登場しました。

 

日本でも積み立て投資の広がりから、信託報酬の引き下げが進んでいます。

 

株価指数などに連動して運用する手数料の安さを売りにしたパッシブ投信の競争過熱が背景にあります。

 

顧客は運用収益をあげやすくなるため投資家の裾野が広がる可能性もあります。

 

米運用大手フィデリティ・インベストメンツが8月1日、米国株と世界株の指数に連動する2つの「ゼロコスト投信」を出すと発表しました。

 

米株式市場では収益悪化への懸念から、競合するブラックロックやTロウ・プライス・グループの株価が急落しました。

 

フィデリティは今回、信託報酬をゼロにするため、初めて連動対象の指数を自作しました。

 

指数会社の指数には純資産額の年0.03~0.1%程度の利用料がかかるとされるが、社内指数の活用でこの分を抑えます。

 

同時に既存の21本のパッシブ投信の信託報酬も大幅に引き下げると発表しました。

 

信託報酬を下げることで顧客を増やし、証券業務での株式の売買手数料などで稼ぐ戦略とみられます。

 

米国ではこの10年、長期にわたる株高を背景にパッシブ投信市場が拡大してきました。

 

新規参入が相次ぎ、顧客獲得競争が激化。手数料の引き下げが進んでいます。

 

6月にはブラックロックが11のETFで信託報酬を最大7割カット。7月にはバンガードがオンラインでの売買手数料を無料にするETFを77本から約1800本に増やすと発表しました。

 

米モーニングスターによると2017年のパッシブ投信の平均信託報酬は純資産額の0.15%と、00年に比べ4割下がりました。

 

手数料の引き下げが相次ぐのは、効果が絶大だからです。世界の投信市場では15年以降、市場平均を上回る運用を目指す株式のアクティブ投信から4650億ドルの資金が流出する一方、パッシブ投信に5800億ドルが流入しました。

 

パッシブ投信はアクティブ投信に比べて運用成果の違いを生み出しにくいため、投資家はコストに敏感になり、少しでも信託報酬が低ければ一気に乗り換えが進みます。

 

たとえば米JPモルガン・アセット・マネジメントが6月に投入した日本株ETF。信託報酬を0.19%と、競合他社のETFの半分以下にしたところ急速に資金が流入しました。

 

わずか2カ月で純資産は約18億ドルに膨らみ、半面、ブラックロックが運用する米市場最大の日本株ETFからは、同期間に20億ドルが流出しました。

 

日本でも積み立て投資の広がりなどを背景に投信の手数料が下がっています。

 

6月にニッセイアセットマネジメントが日経平均連動の投信など6本の信託報酬の引き下げを決めると、7月には三菱UFJ国際投信も3本の投信で引き下げを発表しました。

 

QUICK資産運用研究所によると今年7月時点のパッシブ投信の信託報酬は0.5%と00年7月より0.3ポイント低くなりました。

 

投信のコスト競争はすでに消耗戦に突入しています。

 

一方、手数料を支払う顧客にとってはメリットが大きくなります。

 

とくに日本では投信市場が伸び悩んでいます。手数料の引き下げが、課題とされている若年層の顧客開拓などにつながれば「貯蓄から投資へ」の流れを後押しする効果もありそうです。

 

▼投信の手数料
投資家が支払う投信の手数料は主に3つあります。1つ目は購入時にかかる購入手数料です。

 

日本では一般に購入金額の1~3%程度を販売会社に払います。同じ投信でも販売会社によって異なり、インターネット経由だとかからないケースも多いです。

 

2つ目が投信の残高にかかる信託報酬です。投信の保有期間中、支払い続けるため、長期投資するほど信託報酬の水準が運用成績に与える影響は無視できなくなります。

 

3つ目が信託財産留保額で、売却時の評価額に対して一定割合支払うケースが多いです。

 

率は投信によって異なるほか、設定していない投信もあります。

 

上場投資信託(ETF)の場合は、購入手数料や信託財産留保額の代わりに、売買時に株式同様の売買手数料がかかります。

 



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