地中海のマルタ、仮想通貨の取引量増加


世界の仮想通貨交換業者が2018年に入り、地中海の島国マルタ共和国に相次いで拠点を移し始めました。

 

税率が低い租税回避地であることに加え、国をあげて仮想通貨業を育成・誘致する方針であることが理由となっています。

 

今や1日あたりの取引量は世界最大です。主要国は仮想通貨を使ったマネーロンダリングに神経をとがらせていますが、規制網からはずれた世界が急拡大しています。

 

▼マルタ共和国とは
南欧の地中海にある共和制国家で人口は40万人を超えます。国土面積は日本の淡路島の半分ほどでGDPは約1兆3千億円。

 

2004年に欧州連合(EU)に加盟し、現在は通貨ユーロを導入しています。欧州を代表する観光地ですが、タックスヘイブンとしても知られます。

 

近年はムスカット首相がフィンテック企業の誘致を呼びかけており、仮想通貨交換業者が活動拠点として注目しています。

 

香港勢は18年春に世界最大手の仮想通貨交換業者バイナンスが拠点を移し、オーケーイーエックスも移転を発表しました。

 

仮想通貨に慎重だったポーランドではビットベイが5月に移転を決めました。人口40万人あまりの島国に世界の交換業者が続々と集まりつつあります。

 

今やマルタは世界最大の仮想通貨立国です。米モルガン・スタンレーが世界の交換業者200社ほどを対象に調査・分析(4月)したところ、1日あたりの取引量はマルタが約1100億円を超えて最も多くありました。

 

次いで韓国、中米ベリーズ、インド洋の島国セーシェルと続き、日本は8位にとどまりました。

 

「仮想通貨は未来のお金」。マルタの行政トップである首相は、仮想通貨に好意的な見解を示し、海外事業者を積極的に受け入れています。

 

「ブロックチェーンの島」を自称する同国が、仮想通貨交換業者をひき付ける大きな理由は規制環境です。

 

日本の取引量は世界8位どまり

例えば、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)。中国や韓国が禁止し、日本や英国、ドイツなどはICO詐欺などに注意喚起しています。

 

米国は有価証券にあたるとして厳しい規制を課しました。

 

一方、マルタで18年に可決された仮想通貨関連法は、ICOを積極的に容認し、投資家が誤った情報で被害を受けた場合は発行企業に損害賠償責任を負わせるなどと明確な規定がなされているということです。

 

明確な法制度で企業はICOをしやすくなります。仮想通貨業を専門とする政府機関を発足させる法も可決し、仮想通貨やブロックチェーンを国をあげて推進する姿勢を鮮明にしています。

 

さらに、マルタは法人税率が実質5%程度とされ主要国に比べて低く、欧州連合(EU)の加盟国でもあります。

 

世界の主要な仮想通貨交換業者が従来の本拠地を捨て、マルタなどに移転していることは、日本も無視できません。

 

金融庁は3月、日本で無登録営業をしていたとして、バイナンスに改正資金決済法に基づく「警告」を出しました。

 

投資家が損害を被る恐れがあると判断し、違法行為にクギを刺しました。

 

金融庁の登録を受けようと列をなしている仮想通貨交換業者がしびれを切らしてマルタに移り、日本人を対象に無登録で取引サービスを始めればどうなるか。金融庁の警告を無視しながらサービスを続けても、止められる保証はありません。

 

仮想通貨業者に好意的なマルタに対処を求めるしかありません。

 

仮想通貨情報サイトのクリプトコンペアで、どの通貨を経由してビットコインが取引されているかをみると、日本円は1割ほどにすぎません。

 

5割程度を占めていた4月から急低下しました。日本人の投資家が海外経由で取引を増やしている可能性もあり、日本の規制網は穴だらけになりかねません。

 

世界で1000を超える仮想通貨は国境を越え、取引されています。

 

交換業者の移転は、仮想通貨の規制と育成で実効的な国際協調をどう築くのか新たな問題を突きつけています。

 




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