円滑な相続のために知っておきたい3つのこと


最近では相続セミナーが多く開催されていますが、遺言書の必要性や相続税対策など、いわゆるもめない相続のためのテーマが多いです。

 

しかし実際の現場では、円滑に相続を進めるために必要な作業や手続き、被相続人生存時の生活から遺族の生活に移行するに当たり必要な手続きを知らないケースや失念するケースも少くありません。

 

財産だけでなく生活の継承も含め、ポイントとなる手続きを押さえておきましょう。

 

やるべきとを整理し、まずは使えるお金の確保を

被相続人が亡くなると金融機関の口座が凍結されますが、葬儀費用のほか各種精算等の立て替えなど一連の支払いだけでもそれなりの金額になります。

 

遺産分割協議をもって凍結の解除を待つと時間がかかりますが、妻が遺された場合、立て替えられるだけの貯金がない人も少くなくありません。

 

一般的には香典と貯蓄でまかなうことが多いですが、最近は家族葬や直葬なども増え、香典が入らないケースもあります。

 

このような場合、生命保険金による現金の確保が比較的時間も手間もかからず準備できます。

 

葬儀準備と併せて保険金請求をしておけば、特に不備がなければ通常5営業日程度で入金されます。

 

落ち着いてから請求しようと思っている人も多いでしょうが、当座の生活費のことを考えても早めの請求を促すメリットは大きいです。

 

相続に関する情報収集

相続を進めるに当たり、まず必要となるのは相続人や相続財産の確定、遺言書の有無の確認です。

 

相続人の特定には被相続人出生時からの戸籍が必要となります。

 

本籍地の市区町村役場で請求することになりますが、遠方の場合などは郵送を依頼することも可能です。

 

ただし入手した戸籍が出生時からのものでない場合は、戸籍をさらに遡らないといけません。

 

通常であれば戸籍謄本、改製原戸籍、除籍謄本などを収集することになりますが、出生時からということや、改製原戸籍、除籍謄本を知らず、なかなか必要な戸籍がそろわないケースもあります。

 

戸籍法という法律があるのですが、戸籍法の改正により戸籍の様式などが変更になる都度、新様式の戸籍に書き換えが行われます。

 

この書き換え前の戸籍を改製原戸籍といいます。例えば、離婚によって母と子が戸籍から抜けると、父の戸籍にはバツ印や離婚の記載がされます。

 

ところがその後法改正があり、新様式で書き換えられた父の戸籍には、離婚の記載も母と子がいた記載もありません。

 

つまり現状の戸籍のみでは子の存在が正確に把握できなくなるのです。

 

したがって改製原戸籍も必要になります。しかし、改製原戸籍が被相続人の出生時の戸籍でなければ、さらに遡る必要があります。

 

また、結婚や離婚、死亡などで戸籍から出ていき、戸籍内の人が誰もいなくなったという状況も当然起こります。

 

このような戸籍は閉鎖されるのですが、この状態の戸籍を除籍といい、その写しを除籍謄本といいます。

 

なお、被相続人に子供が無く、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合は、自分たち以外に相続人となるべき兄弟姉妹がいないかを確認するため、被相続人の親の出生時から死亡までの戸籍、および兄弟姉妹の戸籍も必要となります。

 

また、すでに死亡している相続人がいた場合は、その相続人についても出生時から死亡までつながった戸籍が必要になります。

 

相続人が亡くなっていると、その子が代襲相続人となり、広範囲の戸籍の取り寄せとなるケースもあります。

 

次に遺言書の有無についてですが、被相続人が明かしてない場合、相続人が遺言書はないものと思って相続を進めていまうことがあります。

 

そのため、遺言書の確認は速やかに行うようにしなければなりません。

 

公正証書遺言書については昭和64年1月1日以降、「公正証書遺言検索システム」により、どこの公正役場でも検索を依頼することができます。

 

ただし、そこでは存在の確認にとどまるため、遺言書があった場合は保管してある公正役場に出向き、公正証書遺言の謄本の請求が必要になります。

 

一方、自筆証書遺言の場合は、生前に存在を知らされていなければ探すほかありません。

 

知人や親しかった人に尋ねてみる必要もあります。

 

あるいは銀行の貸金庫に保管している場合や、貸金庫の契約者の代理人登録などをしていれば死亡前に遺言書の存在を知ることも可能です。

 

ただし、そうなれば貸金庫を契約している金融機関に相続人全員、もしくは相続人全員の委任状を預かった相続人代表が出向き、所定の手続きを経て貸金庫を確認することになります。

 

この場合は、相続人が多いほど必要書類や印鑑などの収集はもちろん、金融機関の確認などもあるので、相応の時間がかかってしまいます。

 

なお、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認が必要となるため、見つけたとしても絶対に開封しないようにしてください。

 


遺族の新たな生活に移行するための手続き

遺族の新たな生活開始に当たって必要なことは、社会保険関連の手続きとライフラインの継承です。

 

公的年金においては年金受給権者死亡届の提出と未支給の年金請求のほか、手続きの受付後支給開始まで通常3ヶ月程度はかかります。遺族年金も早めの受給手続きをおすすめします。

 

公的医療保険においては健康保険証の返還が必要になります。

 

国民健康保険に加入している世帯主が死亡した場合は世帯主変更の届け出が必要になります。

 

国民健康保険以外の健康保険の被保険者が死亡した場合は、被扶養者であった遺族は別の健康保険に加入する手続きが必要となります。

 

また、本人死亡後でも高額療養費は請求できる場合もあります。

 

公共料金や固定電話、インターネット、NHKの受信契約など家庭のインフラに関わるものや、クレジットカード、運転免許証、パスポートなども実態がわからないので忘れがちですが、名義変更や解約、返却などは一覧表を作成して進めていくと効率よく作業することができます。

 

以上の点を踏まえればある程度はスムーズに円滑な相続ができる可能性があります。

 




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