仮想通貨の自主規制案


業界団体の日本仮想通貨交換業協会の自主規制ルール案では、「匿名通貨」とも呼ばれる送金先を追跡できない通貨の新規取り扱いを禁止します。

 

顧客の資産保全や取引価格の透明化にも取り組むことになり、交換会社が人員増やシステム投資を迫られるのは必至で、財務が強固な大手が生き残る淘汰の時代になります。

 

交換会社が取り扱う通貨については、マネーロンダリングの恐れや、監査法人の適切な監査が難しい通貨の取り扱いを禁止されます。

 

匿名性の高さからかねて問題視されてきたモネロ、ダッシュ、ジーキャッシュといった通貨は表舞台から姿を消す可能性が高くなりました。

 

顧客資産の保護も重要な軸になります。1月にはコインチェックで約580億円の仮想通貨NEMが流出しました。

 

金融庁の検査でも、交換会社の顧客資産のずさんな管理が明るみに出ました。

 

JVCEAは管理の状況について、交換会社が公認会計士や監査法人による監査結果を協会に報告するように義務付けます。

 

仮想通貨の「保管場所」も厳格にするように要請します。例えば、仮想通貨の取引に必要な「秘密鍵」と呼ぶ暗号コードの管理です。

 

交換会社が顧客から預かった仮想通貨を管理するための秘密鍵は、原則としてオフラインで保管されます。外部からのハッキングなどのリスクを抑制するためだからです。

 

投資家の不信を招いてきた不透明な取引についてもメスを入れます。

 

顧客である個人投資家に提示するビットコインなどの売買価格が、市場全体の実勢価格から大きくかい離しないように求めます。

 

流動性の高い株式では当たり前の話だが、注文処理に時間のかかる仮想通貨では交換所によって提示価格が異なることも少なくありません。

 

特に取引価格が瞬時に急騰・急落した時に、交換会社は注文受け付けや約定処理を一時的に中断しなければいけなくなります。

 

株式市場では「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置で、価格の急変動を抑える狙いがあります。

 

伏線は昨年12月にありました。このとき、交換会社のGMOコインが提示するビットコイン価格が市場実勢から離れて乱高下しました。

 

原因は価格の算出元であるビットフライヤーのシステム障害でしたが、GMOコインは億円単位の損失を被りました。

 

自主規制ルール案は合計で100ページ近くあります。分別管理を担当する部門の設置や資金洗浄の対策を求めており、交換会社の負担は大幅に増える見込みです。

 

一部会社からは「金融商品取引法に近いくらいに厳しい体制整備を求められた」と不満の声も漏れます。

 

業界団体のJVCEAは金融庁による業務改善や停止命令が頻発していることに危機感を強め、市場の信認回復を急いでいます。

 

しかし、適正な取引価格や分別管理にどう実効性を持たせるか課題は山積みになています。

 




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