今回は、今後の不動産市場の動向と「2020年問題」「2022年問題」について解説していきたいと思います。

 

不動産は、需要と供給の動向や物件の多寡によって流動性や価格が変化する実物資産です。

 

首都圏を中心とした

①主にマンション需給に影響を与える2020年問題

②主に戸建住宅需給に影響を与える2022年問題

③中古住宅需給に影響を与える空き家問題と流通促進策

 

の3つに焦点をおきながらご紹介していきます。

 

今後のマンション価格の変動を注視

まずは2020年問題についてです。2020年問題とは、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年以降に、東京のマンションを中心として不動産価格の暴落が危惧されている問題です。

 

専門家の調査によると、2017年の首都圏の新築マンションの1戸当たりの平均価格は5,908万円と、前年(5,490万円)比7.6%の上昇となり、1990年以来の高値となっています。

 

背景には東京五輪・パラリンピックの準備などもあって人手不足から建設費が高騰、その影響からもマンション価格の高止まりが続いていることが挙げられます。

 

さらに、都心居住の増加や海外からも含めた投資需要増、あるいは大手による寡占化が進んだことによる供給調整など、需要と供給の面からもマンション価格に上昇圧力がかかり続けています。

 

手を出しにくい価格水準になったと言われていますが、今のところ下落に転じる気配はありません。

 

しかしながら現在の価格高止まりには、2020年に向けての不動産価格全般の上昇に対する期待感も大きく影響しており、東京五輪・パラリンピック終了によってその期待感が薄れると、マンション価格も大きな下落に転じると危惧されています。

 

ただし、現在の価格高止まりによって抑え込まれている需要が一定量あり、価格が下落に転じたとしても、それらの需要が顕著化することにより、大きな下落にはならない可能性もあります。

 

いずれにしても、今後のマンション価格の変動には注意していきましょう。

 



 

生産緑地の宅地化が可能な2022年

次に2022年問題というのがありますが、これは生産緑地と呼ばれている農地が宅地となり、戸建住宅用地、アパート用地として大量に供給され、地価に下落圧力がかかることと言われています。

 

バブル期を経た1992年、宅地供給促進のために、政府は固定資産税など農地への課税を強化しました。

 

しかし農業の継続意思のある地主に対しては、地主が生きている限りにおいて30年間、宅地並みへの課税強化を猶予することとしました。

 

この猶予を受けた農地が生産緑地であり、30年経過した2022年以降は、地主が希望すれば生産緑地の指定を解除し、宅地として売却することができます。

 

問題は2022年に30年経過する生産緑地のうち、どのくらいの農地が宅地に転換して不動産市場に供給されるかであります。

 

近年、都市農地が身近に自然に親しめる空間として評価が高まっていることなどを背景として、様々な役割を担っている都市緑地を保全・活用していくために、2017年6月に改正都市緑地法が施行されました。

 

改正都市緑地法により、30年を経過している生産緑地の指定については、営農を希望する農家に農業の継続を促し、また、宅地供給の急拡大を防止するという観点からも、10年ごとの延長が認められるようになりました。

 

生産緑地として相続税の納税猶予を受けている土地などは生産緑地の指定延長をせざるを得ません。

 

2022年に宅地として供給される土地はそれほど多くならないという見方もありますが、売却という選択肢もあるため、中長期的に宅地の供給圧力として残り続ける可能性も意識する必要があるでしょう。

 

深刻化する空き家問題

3つ目が空き家問題と中古住宅流通促進法です。総務省の調査によると、2013年の空き家戸数は820万戸にも上ります。

 

総住宅戸数に占める空き家戸数の割合である空き家率は13.5%。つまり、日本国内にある住宅のうち、約7戸に1戸は空き家という計算になります。

 

今後は、空き家の増加による様々な問題が生まれることが予想されます。

 

所有者自身にとっては、住宅として使わなくても税金など維持費の負担はかかり、不動産としての価値は下がり続けます。

 

また近隣住民に対しても、老朽化による建物の倒壊の恐れやゴミの投棄など迷惑を及ぼします。

もちろん、資産としての住宅が有効活用されていないこと自体も問題です。

 

こうした空き家問題の深刻化を受け、政府は空家等対策の推進に関する特別措置法を施行して、空き家の解体等の促進を図っています。

 

また、中古住宅の空き家化を防ぐために、リフォーム工事への助成や中古住宅の飼い主が安心して購入するための仕組みの構築など、中古住宅の流通促進の施策も打ち出しています。

 

これらの流通促進策によって中古住宅の供給、取引が増えてくれば、中古住宅の価格のみならず新築住宅の価格に対しても影響が及ぶ可能性があります。

 

これらのトピックの影響が実際にどのように出てくるかをよく見極めながら、不動産価格の動向を把握し、不動産運用設計を考えていく必要があります。