FP2級検定試験の過去出題傾向をまとめました。これから検定試験を受験される方の参考になればと思います。

 

Ⅲ公的年金

1.公的年金の概要
●ポイント整理
国民年金
第1号被保険者
:20歳以上60歳未満の日本国内に住所を有する者で、第2号被保険者·第3号被保険者に該当しない者(国籍は不問)強制加入

:20歳以上65歳未満で日本国内に住所のない日本国籍を有する者

:60歳以上65歳未満の者(昭和40年4月1日以前生まれで老齢年金を受けられない者は70歳未満の者)

第2号被保険者
:厚生年金の被保険者
注)65歳以上で老齢、退職を支給事由とする年金の受給権を有する者は、厚生年金の被保険者の組合員等にはなるが、第2号被保険者にはならない。

 

 

厚生年金
:厚生年金保険の適用事業所となるのは、法人の事業所(事業主のみの場合を含む)である。

:従業員が、常時5人以上いる個人の事業所についても、一部の事業を除いて、厚生年金保険の適用事業所となる。

:適用事業所に使用される者で70歳未満の者は、一部のパートなどを除き、全員が被保険者となる。

:70歳以上になっても働き続けて被用者となる場合について、70歳以降は被保険者とならないので、保険料は徴収されない。

 

 

保険料
国民年金の被保険者ごとの保険料負担

・第1号被保険者
国民年金保険料
平成28年度価額は16,260円
本人が金融機関などを通じて納付

・第2号被保険者
厚生年金保険料(共済組合掛金)
標準報酬月額・標準賞与額に対して、それぞれ平成27年9月以降は17.828%、平成28年9月以降は18.182%
労使折半で負担

注)保険料を前納することで、保険料が割引となる制度がある。
注)毎年9月に0.345%ずつ上昇し、平成29年9月以降、18.30%になる。

 

 

国民年金保険料の免除・猶予
全額免除〈法定免除〉
:被保険者が障害基礎年金の受給権者であるときや、生活保護法による生活扶助を受けているときなど。

全額免除〈申請免除〉
:所得一定以下であるため、保険料の納付が著しく困難であると認められたとき。

一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)
:所得が一定以下であるため、保険料の納付が困難であると認められたとき。

 

 

猶予

学生納付特例
:20歳以上60歳未満の学生で、所得が一定以下であるとき。

:所得は被保険者本人の分だけで判断される(親の所得は関係ない)

保険料納付猶予
:50歳未満の者が失業等の理由によって、所得が一定以下であるとき。

:所得は被保険者本人・配偶者の分だけで判断される(親の所得は関係ない)

:保険料の納付猶予期間中に障害を負った場合または、死亡した場合でも一定の要件を満たしていれば、障害基礎年金または遺族基礎年金が支給される。

:保険料の納付猶予期間について、将来、保険料を追納しない場合は、老齢基礎年金の年金額を計算する際に、合算対象期間と同様に取り扱われる。

 

 

厚生年金
:「標準報酬月額・標準賞与額×料率(労使折半)で計算される。

:標準報酬月額・標準賞与額については健康保険と同じように算出されるが、健康保険の上限とは異なり、標準報酬月額は62万円(31等級)、標準賞与額は1回の支給につき150万円が、上限となっている。

:育児休業期間中および産前産後休業期間中の厚生年金保険料・健康保険料については事業主・被保険者ともに納付が免除される。



2.老齢給付

●ポイント整理
老齢基礎年金
受給要件
保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間≧原則25年

受給期間
:受給要件を満たした者が、原則として65歳に達した月の翌月から死亡した月まで、一生涯にわたって受給できる。

年金額(満額)
:老齢基礎年金の満額は780,100円(平成28年度価額)

:保険料納付済月数が、加入可能月数に満たない場合は、満額から減額となる。

:保険料の納付を免除された期間は、免除の種類に応じた割合しか反映されない。

 

平成21年3月までの免除期間
全額免除期間  3分の1
4分の3免除期間 2分の1
半額免除期間  3分の2
4分の1免除期間 6分の1

 

平成21年4月以降の免除期間
全額免除期間  2分の1
4分の3免除期間 8分の5
半額免除期間  4分の3
4分の1免除期間 8分の7

 

加入可能月数
:昭和16年4月2日以降に生まれた者は480月(40年)

 

その他
付加年金
:第1号被保険者で国民年金保険料を全額納付している人が、希望により月額400円の付加保険料を上乗せして納付すると、老齢基礎年金を受給するときに、付加年金が上乗せされて支給される。

:支給額(年額)は「200円×付加保険料納付月数」

 

振替加算
:大正15年4月2日以降、昭和41年4月1日までに生まれた人で、20年以上厚生年金に加入していた老齢厚生年金の受給者の配偶者であって、加給年金の対象となっている人は、65歳に達したときから振替加算が一生涯にわたって支給される。

:支給額は、振替加算の受給者の生年月日によって異なる。

 

 

老齢厚生年金
受給要件
特別支給の老齢厚生年金
:老齢基礎年金の受給資格期間を満たしてる。
:「1年以上」の厚生年金加入期間がある。

 

老齢厚生年金
:老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている。
:「1ヶ月以上」の厚生年金加入期間がある。

 

老齢厚生年金
:受給要件を満たした者が、原則として65歳に達した月の翌月から死亡した月まで、一生涯にわたって受給できる。

 

その他
加給年金
:「原則として20年以上の厚生年金加入期間がある」
「受給者の収入で生活する65歳未満の配偶者または『子』がいる(目安は配偶者または子の年収が850万円未満)」の要件を満たす人に支給される。
注)『子』とは、「18歳に達した後の最初の3月末までの未婚の子(一般的には高校卒業前の未婚の子)または(20歳未満で1級、2級障害な未婚の子」である。

:支給額は、対象が配偶者か子かによって、配偶者の場合にはさらに受給者の生年月日によって異なる。

 

 

在職老齢年金
:老齢厚生年金などを受給している人が同時に厚生年金の被保険者でもある場合には、以下の2つの合計額に応じて年金が減額または支給停止される。

総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計額÷12)

基本月額(加給年金を除いた年金額÷12)

:この在職しながら受給する老齢厚生年金などを、在職老齢年金といる。

 

 

60歳台前半(60歳以上65歳未満)の在職老齢年金
:総報酬月額相当額+基本月額が28万円以下=全額支給

:総報酬月額相当額が47万円以下+基本月額が28万円以下=基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円×1/2

:総報酬月額相当額が47万円以下+基本月額が28万円超=基本月額-(総報酬月額相当額×1/2)

:総報酬月額相当額が47万円超+基本月額が28万円以下=基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)×1/2+総報酬月額相当額-47万円)}

:総報酬月額相当額が47万円超+基本月額が28万円超=基本月額-(47万円×1/2+総報酬月額相当額-47万円)

注)「28万円」は支給停止調整開始額といい、再評価によって毎年見直される。「47万円」は支給停止調整変更額といい、物価変動率と名目手取賃金変動率によって毎年見直される。

 

 

60歳台後半(65歳以上70歳未満)の在職老齢年金
:総報酬月額相当額+基本月額が47万円以下=全額支給

:総報酬月額相当額+基本月額が47万円超=基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2

注)「47万円」は支給停止調整額といい、物価変動率と名目手取賃金変動率によって毎年見直される。

 

 

70歳以上の被用者の老齢厚生年金の給付調整
:70歳になっても働き続けて被用者となっている場合には、厚生年金からは脱退して保険料負担はなくなるものの、年金は60歳台後半と同様の仕組みで減額される。

 

 

繰上げ支給と繰下げ支給
繰上げ支給
:65歳からの支給開始となっている老齢給付を、60歳以降65歳に達するまでの間に繰上げて受給を開始すること。

メリット
:早く年金を受給できる。

デメリット
:65歳からの本来の年金額よりも減額され、それが一生涯にわたって続く。

:繰上げ請求後は、取消しまたは受給開始年齢の変更ができない。

:国民年金の任意加入ができなくなる。

:受給要件を満たしていても、請求者本人が障害基礎年金を受給できない、遺族が寡婦年金を受給できなくなる。

1ヶ月当たり0.5%の減額(減額率は最大30%)

老齢厚生年金と老齢基礎年金の繰上げは、同時に請求しなければならない。

 

繰下げ支給
:65歳からの支給開始となっている老齢給付を、66歳以後に繰下げて受給を開始すること。

メリット
65歳からの本来の年金額よりも増額され、それが一生涯にわたって続く。

1ヶ月当たり0.7%の増額(増額率は最大42%)

老齢厚生年金と老齢基礎年金の繰下げは、別々に申し出ることができる。

 

 

障害厚生年金
受給要件
以下の要件をすべて満たした人に対して、障害厚生年金が支給される。

:初診日に厚生年金の被保険者であること。
:障害認定日に障害1級、2級または3級の障害状態にあること。
:初診日の前日に、原則として、初診日の属する月の前々月までに、保険料納付済期間や保険料免除期間などを合算した期間が被保険者期間全体の3分の2以上あること。(ただし、特例として、初診日が平成38年4月1日前の場合には、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納期間がないこと)

年金額(平成28年度価額)
1級=報酬比例部分×1.25
2級=報酬比例部分と同額
3級=報酬比例部分と同額(最低保証585,100円)

:1級と2級の障害厚生年金で、受給者の収入で生活する配偶者がいる場合には、配偶者の加算がある(224,500円)

 

 

 

 

 

注意事項
原則として平成28年10月1日時点の法制度に基づいて執筆しています。なお、東日本大震災の被災者等にかかる各種特例、復興特別所得税、個人住民税の均等割加算については、特に指示のない限り記載または考慮していません。